お家寄席74・初天神
すっかりと「高橋さんの写真館」名物になりました「お家寄席」・・・。
2010年、謹賀新年。
あけましておめでとうございます。^±^ノ
笑門来福、もしくは笑門来福。
とにもかくにも、「笑う門には福来る」です。^±^
笑って新年を迎えましょう。^±^ノ
お前が言うと門が立つだけだぞ!(゚Д゚)ノx±x
さて、今日、正月講演は「初天神」の一席です。
「あけましておめでとうございます」・・・から始まるとおり、正月に寄席でかかる縁起のいい一席でございます。
但し今年2010年は寅年です。この落語を書いたのは戌年新年でした。
・・・ではこちらは、平成18年1月1日の作品です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1月1日 初っ端は縁起物の落語、「初天神」を
皆様、新年あけましておめでとうございやす。
今年は犬の年ですな。
今年こそ、悪い事件も不幸なことも居ぬ年としたいものですな。
・・・お寺にも和尚が二人で、オショウガツ
林家三平さんのギャグですな。
まあ、何かにつけ、正月はいいものですな。
「じゃ、おっ母(か)ぁ、行って来る」
熊さん、新しい羽織を着やして、新たな思いを胸に秘めやしてこれから天神様にお参りをと、まさに出かけようとしたまさにその時・・・。
「父ちゃん、どこ行くの?」
「おぅ、金坊か。父ちゃんはこれから天神様にお参りに行くんだよ」
「ねぇ、あたいも連れてってよ~」
「おめぇはダメだ! おめぇは露店を見るとなんでも欲しがるからな・・・。父ちゃんは金坊に買ってやるために天神様に行くんじゃねぇんだから」
「ねぇ~、父ちゃん。絶対に何も欲しがらないからさぁ・・・。連れてってよ~」
「ダメダメ。いつだってそういう調子のいいことを言って、結局、ねだるんだろう」
「ねぇ、本当に約束する。だって天神様のところに行くんでしょ?・・・神様に誓って約束するからさぁ・・・」
台所から、
「お前さん、連れてってあげなさいな」
おかみさんの声。
熊さんも、しぶしぶ承知しやす。
「・・・しょうがねぇなぁ。じゃ、約束だぞ。父ちゃん、今日という今日は何も買わねぇからな。約束を破ったら、罰が当たるんだぞ。罰が当たっても父ちゃんは知らねぇぞ!」
まあ、確約を取ったら最期でして、ほとんど子供に軍配が上がるってぇ相場が昔から決まってるんですな。
案の定、天神様の露店で、金坊は動かなくなりやしてな。
それを強引に引っ張る熊さん。
「・・・と、父ちゃん。あのりんご飴、おいしそうだね。・・・あ。綿菓子もある・・・」
「金坊! さっき約束したばかりじゃねぇか! 言った先からねだりやがって・・・。ダメだダメだ。絶対何も買わねぇぞ!」
「・・・そうだよね。約束したもんね・・・。わかった。父ちゃん、我慢する」
「ほう、金坊、偉いぞ。我慢するか。そういうふうにすれば、父ちゃんは金坊を連れてってあげるんだぞ」
「父ちゃん、偉い?」
「偉い偉い」
「じゃ、ご褒美としてあそこのあめ玉、買って・・・」
「・・・しょうがねぇな・・・って、おい!」
「ダメ?・・・アタイ、偉いんでしょ。このあめ玉だけでいいからさ。奥ゆかしいでしょ?」
「・・・う~ん、本当にあめ玉だけだろうな。じゃ、しょうがねぇや。あめ玉、好きなの選びな。おい! あめ玉屋! なんでこんなところに店を出してやがる!」
あめ玉屋も飛んだとばっちりでしてな。
「ほらほら、どれにするんだよ、この赤いやつか? じゃ、これ1個・・・金坊、口に入れろ。噛み砕くんじゃねぇぞ!」
金坊にあめ玉をしゃぶらせるってぇのは、熊さんのちょっとした作戦でもありやして。
あめ玉をしゃぶってる間は、ものを欲しがってもあめ玉が邪魔で、
「あ~~~、ぁ~~~~!」
って欲しいものがわからねぇんで。
で、子供も知恵がまわりやす。あめ玉に飽きた頃、ちょいと人にぶつかって、わざと転んで、それを吐き出しやしてわーっと泣きやす。
「わ~~~ん。あめ玉が・・・あめ玉が・・・」
「おいおい、人でいっぱいなんだから気をつけて歩きなよ。あ? あめ玉? あ、落っこちたか、じゃ、父ちゃんの手ぬぐいでちょちょいと拭いて、おい、金坊! 口あけろ」
「わ~~~ん。やだよぅ~~~。泥だらけだよ~。父ちゃん~~。あめ玉はあきらめるからさぁ、あそこにある、ダンゴを買ってぇ~」
「ち、おめぇの悪知恵かよ! ダメだ! 父ちゃん、絶対買わねぇぞ!」
「買って~~~ぇ。買って~~~ぇ・・・」
「みんなが振り返って見てるじゃねぇか。おい、ダンゴ屋。ダンゴ1串。蜜(みつ)か餡(あん)かって? そっちの安い、蜜でいいよ! おぅ、たっぷり蜜をつけてくれよ。どうも・・・おっと、蜜が垂れる・・・」
熊さん、垂れそうな蜜をぺろぺろと舐めて、
「はらよ。金坊」
「そんな蜜のないダンゴ、嫌だよぉ~」
「ダンゴ屋、おめぇんとこ、蜜がないぞ、よっこらしょ」
「おっと、旦那さん。よしとくれよ・・・」
勝手にダンゴ屋の蜜壷にたっぷりとひたらせて金坊に渡しやしてな。
天神様のお参りを無事に済ませ、
「じゃ、金坊。帰るぞ!」
「父ちゃん。あれな~に?」
「・・・ん? あれか? あれは凧(たこ)あげの凧だな」
「あれ、面白そうだねぇ・・・」
「おぅ、やめろよ。おめぇが口を聞くとドキッとするよ」
「あれ、どうやるの?」
「広場とか、河川敷とかで空高く上げるんだよ」
「へぇ、おもしろそうだね」
「そりゃ、父ちゃんも小さい頃よくやったよ。でもな・・・買わねぇからな」
「やだ~~。凧(たこ)~、買・っ・て・ぇ・~~~~!」
「ダメだ。今度こそダメ!」
「買ってぇ買ってぇ買ってぇ・・・」
「あ~、そんなところで寝っ転がっちまいやがって・・・。足をバタバタさせて・・・。これだから父ちゃんは連れて行きたくなかったんだ。・・・おい、凧屋、この小さいのいくらだ」
するってぇっと、金坊、
「父ちゃん、その隣のがいい・・・」
また寝っ転がって。
「と~な~り~の~~~~~~~」
「・・・おぅ、じゃ、そ、その隣の・・・。おい凧屋。足をつけてくれ」
鳴いた烏がもう笑ってやしてな。金坊、ニコニコしながら凧を持って、近くの空き地を通りかかりやすってぇっと、早速上げてみたくてたまらくなりやして。
「父ちゃん。凧上げって、どうやるの?」
「やってみるか? じゃ、父ちゃんが凧を持っててやるから、あっちに走ってみな」
「行くよ~」
「そうじゃねぇ。父ちゃんと反対に走るの。そうそう、凧を放せ・・・」
なんて言ってるうちに、
ド~ン
酔っ払いにぶつかっちまって。金坊、どかっと後ろに尻餅をついて火がついたように泣き出しやす。
「すいません・・・。何分にも子供のすることで。ご勘弁願いやす・・・。おい、金坊、しっかりしろぃ。泣く奴があるか、俺がついてらぁ。・・・それにしても金坊、下手だねぇ、どれ、父ちゃんが見本を見せてやる」
熊さん、童心に返って、凧あげをやりたくなったのか、さっと子供のを取り上げて走るってぇっと今度は熊さんが若い芸者さんにぶつかりやして。
金坊、すかさず、
「すいませんねぇ。何分にも大人のすることで。父ちゃん、しっかりしろぃ。アタイがついてらぁ」
これが「初天神」の一席のオチなんですがな、せっかくですから、景気づけに、粗忽亭のオチを。
「父ちゃん、しっかりしろぃ。アタイがついてらぁ・・・それにしても、父ちゃんは芸者さんへのぶつかり方が下手だ。アタイが大きくなったら見本を見せてやる」
こんなものでいかがでしょう?
ああ、子供は恐ろしいといいやすか、頼もしいといいやすか・・・。
お後がよろしいようで・・・。
m<●>m!
2010年、謹賀新年。
あけましておめでとうございます。^±^ノ
笑門来福、もしくは笑門来福。
とにもかくにも、「笑う門には福来る」です。^±^
笑って新年を迎えましょう。^±^ノ
お前が言うと門が立つだけだぞ!(゚Д゚)ノx±x
さて、今日、正月講演は「初天神」の一席です。
「あけましておめでとうございます」・・・から始まるとおり、正月に寄席でかかる縁起のいい一席でございます。
但し今年2010年は寅年です。この落語を書いたのは戌年新年でした。
・・・ではこちらは、平成18年1月1日の作品です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1月1日 初っ端は縁起物の落語、「初天神」を
皆様、新年あけましておめでとうございやす。
今年は犬の年ですな。
今年こそ、悪い事件も不幸なことも居ぬ年としたいものですな。
・・・お寺にも和尚が二人で、オショウガツ
林家三平さんのギャグですな。
まあ、何かにつけ、正月はいいものですな。
「じゃ、おっ母(か)ぁ、行って来る」
熊さん、新しい羽織を着やして、新たな思いを胸に秘めやしてこれから天神様にお参りをと、まさに出かけようとしたまさにその時・・・。
「父ちゃん、どこ行くの?」
「おぅ、金坊か。父ちゃんはこれから天神様にお参りに行くんだよ」
「ねぇ、あたいも連れてってよ~」
「おめぇはダメだ! おめぇは露店を見るとなんでも欲しがるからな・・・。父ちゃんは金坊に買ってやるために天神様に行くんじゃねぇんだから」
「ねぇ~、父ちゃん。絶対に何も欲しがらないからさぁ・・・。連れてってよ~」
「ダメダメ。いつだってそういう調子のいいことを言って、結局、ねだるんだろう」
「ねぇ、本当に約束する。だって天神様のところに行くんでしょ?・・・神様に誓って約束するからさぁ・・・」
台所から、
「お前さん、連れてってあげなさいな」
おかみさんの声。
熊さんも、しぶしぶ承知しやす。
「・・・しょうがねぇなぁ。じゃ、約束だぞ。父ちゃん、今日という今日は何も買わねぇからな。約束を破ったら、罰が当たるんだぞ。罰が当たっても父ちゃんは知らねぇぞ!」
まあ、確約を取ったら最期でして、ほとんど子供に軍配が上がるってぇ相場が昔から決まってるんですな。
案の定、天神様の露店で、金坊は動かなくなりやしてな。
それを強引に引っ張る熊さん。
「・・・と、父ちゃん。あのりんご飴、おいしそうだね。・・・あ。綿菓子もある・・・」
「金坊! さっき約束したばかりじゃねぇか! 言った先からねだりやがって・・・。ダメだダメだ。絶対何も買わねぇぞ!」
「・・・そうだよね。約束したもんね・・・。わかった。父ちゃん、我慢する」
「ほう、金坊、偉いぞ。我慢するか。そういうふうにすれば、父ちゃんは金坊を連れてってあげるんだぞ」
「父ちゃん、偉い?」
「偉い偉い」
「じゃ、ご褒美としてあそこのあめ玉、買って・・・」
「・・・しょうがねぇな・・・って、おい!」
「ダメ?・・・アタイ、偉いんでしょ。このあめ玉だけでいいからさ。奥ゆかしいでしょ?」
「・・・う~ん、本当にあめ玉だけだろうな。じゃ、しょうがねぇや。あめ玉、好きなの選びな。おい! あめ玉屋! なんでこんなところに店を出してやがる!」
あめ玉屋も飛んだとばっちりでしてな。
「ほらほら、どれにするんだよ、この赤いやつか? じゃ、これ1個・・・金坊、口に入れろ。噛み砕くんじゃねぇぞ!」
金坊にあめ玉をしゃぶらせるってぇのは、熊さんのちょっとした作戦でもありやして。
あめ玉をしゃぶってる間は、ものを欲しがってもあめ玉が邪魔で、
「あ~~~、ぁ~~~~!」
って欲しいものがわからねぇんで。
で、子供も知恵がまわりやす。あめ玉に飽きた頃、ちょいと人にぶつかって、わざと転んで、それを吐き出しやしてわーっと泣きやす。
「わ~~~ん。あめ玉が・・・あめ玉が・・・」
「おいおい、人でいっぱいなんだから気をつけて歩きなよ。あ? あめ玉? あ、落っこちたか、じゃ、父ちゃんの手ぬぐいでちょちょいと拭いて、おい、金坊! 口あけろ」
「わ~~~ん。やだよぅ~~~。泥だらけだよ~。父ちゃん~~。あめ玉はあきらめるからさぁ、あそこにある、ダンゴを買ってぇ~」
「ち、おめぇの悪知恵かよ! ダメだ! 父ちゃん、絶対買わねぇぞ!」
「買って~~~ぇ。買って~~~ぇ・・・」
「みんなが振り返って見てるじゃねぇか。おい、ダンゴ屋。ダンゴ1串。蜜(みつ)か餡(あん)かって? そっちの安い、蜜でいいよ! おぅ、たっぷり蜜をつけてくれよ。どうも・・・おっと、蜜が垂れる・・・」
熊さん、垂れそうな蜜をぺろぺろと舐めて、
「はらよ。金坊」
「そんな蜜のないダンゴ、嫌だよぉ~」
「ダンゴ屋、おめぇんとこ、蜜がないぞ、よっこらしょ」
「おっと、旦那さん。よしとくれよ・・・」
勝手にダンゴ屋の蜜壷にたっぷりとひたらせて金坊に渡しやしてな。
天神様のお参りを無事に済ませ、
「じゃ、金坊。帰るぞ!」
「父ちゃん。あれな~に?」
「・・・ん? あれか? あれは凧(たこ)あげの凧だな」
「あれ、面白そうだねぇ・・・」
「おぅ、やめろよ。おめぇが口を聞くとドキッとするよ」
「あれ、どうやるの?」
「広場とか、河川敷とかで空高く上げるんだよ」
「へぇ、おもしろそうだね」
「そりゃ、父ちゃんも小さい頃よくやったよ。でもな・・・買わねぇからな」
「やだ~~。凧(たこ)~、買・っ・て・ぇ・~~~~!」
「ダメだ。今度こそダメ!」
「買ってぇ買ってぇ買ってぇ・・・」
「あ~、そんなところで寝っ転がっちまいやがって・・・。足をバタバタさせて・・・。これだから父ちゃんは連れて行きたくなかったんだ。・・・おい、凧屋、この小さいのいくらだ」
するってぇっと、金坊、
「父ちゃん、その隣のがいい・・・」
また寝っ転がって。
「と~な~り~の~~~~~~~」
「・・・おぅ、じゃ、そ、その隣の・・・。おい凧屋。足をつけてくれ」
鳴いた烏がもう笑ってやしてな。金坊、ニコニコしながら凧を持って、近くの空き地を通りかかりやすってぇっと、早速上げてみたくてたまらくなりやして。
「父ちゃん。凧上げって、どうやるの?」
「やってみるか? じゃ、父ちゃんが凧を持っててやるから、あっちに走ってみな」
「行くよ~」
「そうじゃねぇ。父ちゃんと反対に走るの。そうそう、凧を放せ・・・」
なんて言ってるうちに、
ド~ン
酔っ払いにぶつかっちまって。金坊、どかっと後ろに尻餅をついて火がついたように泣き出しやす。
「すいません・・・。何分にも子供のすることで。ご勘弁願いやす・・・。おい、金坊、しっかりしろぃ。泣く奴があるか、俺がついてらぁ。・・・それにしても金坊、下手だねぇ、どれ、父ちゃんが見本を見せてやる」
熊さん、童心に返って、凧あげをやりたくなったのか、さっと子供のを取り上げて走るってぇっと今度は熊さんが若い芸者さんにぶつかりやして。
金坊、すかさず、
「すいませんねぇ。何分にも大人のすることで。父ちゃん、しっかりしろぃ。アタイがついてらぁ」
これが「初天神」の一席のオチなんですがな、せっかくですから、景気づけに、粗忽亭のオチを。
「父ちゃん、しっかりしろぃ。アタイがついてらぁ・・・それにしても、父ちゃんは芸者さんへのぶつかり方が下手だ。アタイが大きくなったら見本を見せてやる」
こんなものでいかがでしょう?
ああ、子供は恐ろしいといいやすか、頼もしいといいやすか・・・。
お後がよろしいようで・・・。
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