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お家寄席21・しの字嫌い

さて、今日は「しの字嫌い」です。
実際、私生活で「し」の字を抜くと大変なことになります。…「しせいかつ」さえもいえないわけですからね。
頭は切れるが口に毒のある清三と旦那とのやり取りが見ものです。
・・・ではこちらは、平成17年5月18日の作品です。


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5月18日 「しの字嫌い」で一席を

えー、毎度ばかばかしいお笑いを一席、お付き合いのほどをよろしくお願い申し上げます。
本日は「しの字嫌い」ってぇ一席でござんす。

縁起担ぎ、これは誰でも気になるものでしてな。
よくあるのは、数字の縁起ですな。日本ですと、4や9は、死ぬ、苦しむなんて言いやして、あまり使いたがらねぇ。そういうあっしも使うのを嫌ってる傾向があるんですがな。これがアメリカでしたら13ですな。キリストの裏切り者の数ですからな。
日本で忌み嫌う4と9を足して13になるのも何かのご縁ですかな?

こちらは、大きいお店(おたな)の旦那の下で働く清三(せいぞう)。頭が切れるが口に毒があるのが難点でして。

「清三や、お前は一生懸命に働くが、言葉がぞんざいで困る。それじゃあ、お客が来た際にも失礼に当たる。だからその言葉使いをを直す意味で、言葉を封じてみようじゃないか」
「あん(何)でごぜえますか? 言葉を封じるって」
「うむ、昔、太閤(たいこう)秀吉が御殿を新築の折、御家来衆を大広間に集めて、今日一日は決して『し』という字を使うでないぞ、と言って『し』の字を封じたんだな。
なるほど、『し』というのは忌み言葉だ、死ぬ、しくじる、幸せが悪い、などと言うからな」
「ありぃ~。旦那さん、そう言わなけりゃいいでないか! 死なにゃあ(ない)、しくじらにゃあ(ない)、幸せだ、って言えばいいんでねぇだか?」
「…とにかく使っちゃならねぇってぇんだよ。で、お前さんが今日一日で、先に『し』のつく言葉を言ったら、今後いっさいお給金をやらん」
「え、えけぇことを考えたな。…さいでがんすか。じゃ、おめえさんが『し』の字を言ったら、どうするんでがんすか?」
「何だ。主(あるじ)に向かって、おめぇさんとは!」
「…い、いや、…じゃ、あんたさんが、使ったらどうするんですかい?」
「そんなのわたしが決めることじゃないか。もしものことがあっても決して言やぁしないよ」
「ありゃあ、…決めねえほうがいいぞ。もう4回も出とるじゃないですか。わた『し』に、も『し』もに、けっ『し』て言やぁ『し』ないよ…。こんなに出とるぞ。それから『じ』はどうすんだ。『し』に濁点(だくてん)だぞ!」
「ま、まだ決めてないんだからいいんだ。
それに『じ』は『死ぬの[し]』につならがないからいいんじゃ。
じゃ、わた…ン…われが先に言ったら、なんでも清三の好きなものをやろう…、ってぇことでどうだ」
「ようがす。でも、いいんでがすかぃ? どうなっても知らねぇ、ン…、いや~気をつけねえっとオラも出るなぁ。…どうなってもわかんねぇぞ」
「じゃ、あとは手拍子…、ン…、あとは手を、打つから、その先は言っちゃあいけないよ」
「へ~い」

ってぇんで、ひのふのみ、パン! と手拍…ン…手を打ちや…ゴホン…手を打ってですな。早速、始まりま…ン…始まったんですな。粗忽亭のあっ…、ン…あちきまで参加することになっちまいや…、ン…なっちまって…。
でも実際にやってみると、こいつがなかなかむずか…、ン…大変な、ものですな。

「清三。あとは、用があったら呼ぶから。おい、お待ち。そこを開けてっちゃいけねぇよ。そこを…ン…そこを…」
「あんだぁ。そこをどうするだ?」
「そこを、開けるの反対だ!」
「反対って、あんでがす?」
「…そこを、…閉(と)ざせ~!」

清三が出て行ったのを見計らい、独り言をつぶやきやすな…。

「危なかったねぇ…。もうちょっとで、そこを閉(し)めろ~!、って出るところだったよ。
しかし、これだけしっかりと決めてたら、しめしめだ…。
あれ? のべつに出るねぇ。こっちが先に言いそうだ。こうなったら、あいつに何とか言わせるようにたくもう。
…そうだ。ちょうど夕餉(ゆうげ)時だから、あいつの口癖を利用するか。
そう言えば、清三はご飯が出来ると決まって、『お飯(まんま)、てぇてしめぇやした』って言うなぁ。だからこっちが、『ごはんを炊いてしまったか?』…あ、これじゃあ、こっちが先に言っちまうか…。もとい、『ごはんを…炊いたか?』 こう聞いてみればいいんだな。それでも言わなかったら、今度は『瓶(かめ)に水を汲んだか?』って聞いてやろう。『瓶に水を汲んでしめぇやした』って言うだろうから。口癖だから出るだろう…。
おい、清三や!」

「へ~い。あんだ~?」
「清三、ごはんを、…炊いたか?」
「へい、ごはん? ああ、お飯(まんま)か。お飯(まんま)、てぇて…、いや、お米をてぇたら、飯(まんま)になった…」
「瓶に、水を、汲んだか?」
「へい、瓶に水を汲んで…、ン…、クン…、クン…」
「まるで子犬だなぁ」
「クン…汲んだら水が、いっぺぇになった」
「下がってよ…ン…下がって…、ええ!」

清三が下がった後、再び独りごちやす。

「気をつけてるねぇ。あいつも…。だけど、くやし…、ン…、く、悔いが残るじゃないか。
腹が立つねぇ。うまく逃げてやがる。何かいい方法はないかねぇ。
…そうだ。この間、清三が本店(ほんだな)のおかみさんに、なんか妙な悪口を言ってたなぁ。
『あのおかみさん、どこもかしこもええだよ。色が白い。だがお尻が大きい』。
…さっきのこともあるから、これだけだとちょっと不安だなぁ。…もっとほかに何かないかなぁ。
…お、あるある。ここに…おあし…、ン…、いや、ここに、…銭がある。ちょうど4貫444文(しかん、しひゃくしじゅうしもん)だ。
銭勘定をしろ…、いや、銭勘定をやれって言って、これを無理に数えさせよう。こんなにばらばらの細かい銭だ。銭をまとめるためには、やむを得ない。それであいつ、まず、『さしを貸してくれ』って言うな。で、そこでごまか…、ン…、ごまかすことができても、だ。勘定をし…、…ン…、…勘定をやってみれば、また答えがこれだ。いくらなんでも、もう言うかも…、ン…言うかもわからないな。
それからそうだ。生意気にあいつはいつも胡坐(あぐら)をかいてるから、あいつに正座をさせよう。なれねぇ正座だ。しびれ…ン…足…ゴホゴホッ…。痛くなるな、脚部(きゃくぶ)が。じんじんになる。そこが付け目だ。清三、どうした…、ン…、もとい、どうなったと聞く。清三は『足がしびれた』、言うなぁ、言う言う。やらせよう…。
おい、清三!」

「へ~い。今度は何か、かんげぇたか!」
「…余計なお世話だ。まず、そこへ、座れ」
「ん? 座ってるだよ」
「そうではない。おまえのあ…、あ…、ン…、あんよが出てる」
「子供だに~、まるで。あんよだって。胡坐(あぐら)はだめかい? 正座するだか? ほい、…やった。で、用とはあんでがすか?」
「ン…、用という、ほどじゃないが、この間本店(ほんだな)のおかみさんのこと、何か言ってたそうだな。…何って、言った?」
「本店のおかみさん? ああ、おかみさんね。おかみさん、どこもか…どこもカ~、カ~、カ~」
「おや、今度は、からすかい?」
「どこも、みんな、ええだにゃ。色が…、色がきれいだな。だが…、ン…、だが、ケツがでけぇ」
「何だ。ケツとは! もっと…品(ひん)をよく、言いなさい」
「品をよくって…、あ~んて言うでがすかに?」
「それはな、お…、ン…、…でん部だ!」
「アハハぁ、あんたも言えん。オラも言えん。こりゃ、おたげぇに危ねぇだに?」

ところが、いよいよ清三のあ…、ン…あんよがじんじんになって来や…、ン…来やがってな。

「おい、清三。どう…、ど、どうなった?」
「き、切れた」
「何が、切れた?」
「言えねえものが、切れた」
「い、言いなさい」
「いちびれ、にびれ、さんびれ、よびれ…よびれが、切れた!」
「よびれ~? ご、強情だねぇ。まあ、よ…、ン…、まあ、よい…。
あと、ここにおあ…、…ン…ここに…銭があるから、銭勘定を、…ン、銭勘定をやらかせ!」
「別にがなる(怒鳴る)こともなかんべ。ま~た、こりゃあ、こまっけぇ銭だなや。ならば、あれ、貸…、…ン…、こっちに渡…、…ン…、こっちに持って来てくんろ。これこれ…」

身振り手振りで清三、旦那に訴えやす。ところが、旦那は旦那で、どう…、ン、どうやっても清三に言わ…、ン、言うように企んでるんですな。

「これこれって、何だ!」
「ほれ、さ…、ン…、危ねぇ、危ねぇ。とにかく銭勘定するやつだに。ほれ、けつにわらで結んであんの…こっちに貸…、こっちによこ…こっちに持ってきてくだせぇ」
「これか?」
「そう、これこれ。旦那さん、これあん(何)って言うでがすかに?」
「これは、さ…。…いいよ。早いとこ、銭勘定を、やらかせ」
「これは…ひい、ふう、みい、よう…。ひい、ふう、みい、よう…。ひい、ふう、みい、よう、ひい、ふう、みい、よう…っと。…ん? た、たくらんだな。この狸野郎(たぬきやろう)!」
「さあ、どうだ。これでまいったか?」

ですがな、清三にもいい知恵が浮かび上がって来や…、ン…、来て…、ですな。

「…ならば、そろばんをおいてくれねえだか。まず、2貫とおいとくれ」
「2貫。おいた」
「また2貫とおいとくれ」
「また2貫」
「今度は200とおいとくれ」
「200か? おいた」
「また200」
「また200だな?」
「今度は20だ」
「今度は20だな?」
「また20」
「また20っと…」
「2文、おいとくれ」
「2文」
「また2文だ」
「また2文」
「全部で、いくらだ?」
「…ゴホッゴホ。お、お前さんが計算するんだよ!」
「じゃ、ヨカンヨヒャクヨジュウヨモンだ!」

とうとう業を煮や…ン…業を煮ちゃって、旦那が一言。

「くっ、清三、もう寝ちまいなさい。本当にもう、しぶといんだから…」

旦那、慌てて口を押さえま…、ン…、押さえたんですが、後の祭りですな。

「…しまった!」

それじゃ、あっ…、あちきも、お後がよろ…ン!…お後が「よろよい」ようで…

m<●>m!
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