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お家寄席61・粗忽オンブバッタ

さて、今日は「粗忽オンブバッタ」の一席です。
こちらは「粗忽長屋」をアレンジしました。
どうアレンジしたかはお楽しみということで・・・。^±^
・・・ではこちらは、平成17年10月13日の作品です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

10月13日 粗忽ものの落語を一席…

毎度ばかばかしいお笑いでございやす。

え~、秋もすっかり深まりやして。
虫の声が悲しげに聞こえる季節になりやしたな。
まあ、その悲しげな季節にそぐわない一席で、本日はお付き合いいただきたいと思いやす。

お江戸は浅草のあるところに、長屋がありやしてな。
ところが今回は長屋の住人が主人公でなくって。
長屋の住人が主人公だったら、「粗忽長屋」ってぇ、この落語によく似た噺(はなし)がありますがな。
残念ながら、そこに住んでるマダラカマドウマってぇ虫が主人公でして…。

…あの、マダラカマドウマ、ご存知でしょうかな。
所ジョージさんが、昔、「ハッケントビ(八軒跳び?)」なんぞ言ってた、玄関先とか勝手口とかで、ピョンスカ、ピョンスカと飛び跳ねてる、黄色と黒の斑(まだら)ってぇか、縞(しま)模様の、阪神タイガースの模様のような虫なんですが、最近は見かけなくなりましたな。
あの虫、脚力が強いっていうか、よく飛びますよね。
ピョ~ン!
なんて突然飛んだりして、びっくりしやすな。あわくったりしやす。
また、あの虫はうんともすんとも鳴かねぇんで、可愛げがねぇっていうか、何となく薄気味の悪いやつですな。

とにかく、このマダラカマドウマ、浅草界隈ではかなりの有名な親分でして、町内の若い衆の面倒見もいい。
でも、ひとつだけ欠点がありやして、こいつが並外れたあわてもん、粗忽(そこつ)者なんですな。

ある時、この親分が浅草の観音様の裏を跳ねてますってぇっと、人だかり、いや虫だかりがありやして。

「おぅ、この人だかりは一体何でぃ! マンでぃ! チュースでぃ! この人だかりはよぅ!」
「ええ、どうやら、虫の死体らしいんですがね。虫だかりがすごくって、よくはわからねぇんで…」

虫だかりがすごいって言われれば見たくなるのも江戸っ子、いやいや…、江戸っ虫の人情、いや虫情でしてな。

「ちょいとごめんよ」
親分、すぐさま輪の中に入ろうとするんですが、なかなか前へ進められねぇんで、しょうがねぇからコオロギの若い衆の股間を跨(また)ぐってぇっと、跨ぎ終わったあたりで、

「泥棒!」
真後ろの上のほうから、怒鳴り声がしやして。

親分、聞き捨てならねぇと思い、
「泥棒とは何でぃ!」
振り向きざま、思わず怒鳴り返しやすってぇっと、コオロギの若い衆が烈火のごとく怒ってやして。

「だって泥棒じゃねぇか。おいらの股間に貼ってあった膏薬(こうやく)、返しやがれ!」
「膏薬だと?」
「おうよ、お前さんの頭についてる…」

頭を触ってみるってぇっと、確かに触覚あたりに薄汚ねぇ膏薬がべったりと…。
気持ち悪げに、矢継ぎ早にそれをひっぺ返し、
「ペッペッ…ほいよ!」
コオロギの若い衆にすかさず渡しやす。
そんなこんなで、やっとこさ、輪の中心に辿(たど)り着きやして。

「ど…どうしたんでぃ?」
親分が尋ねやすってぇっと、カマキリの役人が、
「どうやら、行き倒れのようですな」

でもって、さらに近づいてみますってぇっと、何やら虫の死体が、ゴザにくるまれて死んでおりやしてな。

「どれ?」
ゴザをどかして、死体を見た途端(とたん)、親分、もうびっくりしましてな。

「おい、こ、これは…うちの長屋に住んでるやつじゃねぇか…。おいおい、可哀想に…。なんとまぁ、哀れな姿になっちまいやがって…。おう、カマキリのお役人…こいつに身内は?」
「あなたはこの死体に見覚えがあるんですかな? 実は、誰が身内だかわからねぇんで、こちらも非常に困ってたところなんだよ。それは助かったよ。じゃ、あなたが一切合財(いっさいがっさい)、引き取ってくださるのかい?」
「…い、いや~。弱ったなぁ…。いえね、引き取ってもいいんですがね、野次馬(やじうま)、いや、野次虫たちから、こいつ、後(あと)からのこのことやって来たのに死体を持って行きやがって、ずるい野郎だな!…なんてね、痛くもねぇ腹を探られるのもなぁ…」
「おいおい、誰もそんなこと思っちゃいないよ。あなた、この死体を引き取ってくれるんだろ?」
「…じゃ、こうしやしょう。ここにこれから本人を連れて来るから、そこで本人に引き取らせやしょう」
「え? 本人を連れて来るって? …じゃ、違うよ。気をしっかり持って、冷静に考えなよ。本人は生きているんだろ? でも、こいつはもう死んでるんだから…」
「いえね…、うちの長屋の野郎、人一倍、いや、虫一倍そそっかしくってね。そんな野郎だから、きっと死んだことも分からなくなっちゃってんだよ」
「そんなはずはないだろうよ」
「…んじゃ、その行き倒れのオンブバッタを今連れて来るからな。その間、誰にも引き取らせんじゃねぇぞ!」
言うや否や、さっとその場から去ってしまいやす。

後から、さらにあわてたカマキリの役人の声が…。
「おい、キミキミ。絶対に違うよ! 大体において、このバッタ、ショウリョウバッタモドキだってば!…ああ、行っちまったよ。弱ったねぇ…」

…まあ、確かにショウリョウバッタモドキ。キチキチバッタともいって、オンブバッタと似ておりやすが、実はこれが「似て非」でしてな。
オンブバッタはオンブバッタ科、オンブバッタ亜科ですが、ショウリョウバッタモドキはバッタ科ショウリョウバッタモドキ亜科と、まったく違いやして。
体長は、オンブバッタが20~42㍉くらい、比べてショウリョウバッタモドキはもう少し大きくて27~57㍉くらいで、少し大きいんですな。
ついでに、オンブバッタが8月から12月まで見かけるのに比べ、ショウリョウバッタモドキは8月から11月までしか見かけませんでして。

ちょいと薀蓄(うんちく)をはさんでみましたが。横道にそれてしまいやした。
比べて、マダラカマドウマ親分は、長屋にまっしぐらですな。

「おい、オンブバッタ! てぇへん(大変)だ!」
何度も戸をたたき、大声で呼びますってぇっと、
「…何を? うるせぇな~、もう…。朝からオンブバッタ、オンブバッタって…。またオンブバッタもオンブバッタだよな…。起きて戸を開けてやりゃいいものを…。で、こんな近所迷惑にならねぇのに…。…ん?…あ、オンブバッタはあっしだった…」

ごそごそ起きますってぇっと、
「何? 今開けるよ…お、これはこれは…マダラカマドウマの親分…」

「親分じゃねぇよ。お前は暢気(のんき)だな。おい、てぇへん(大変)なんだよ。お前さん、行き倒れで浅草の観音様の裏で死んじゃってるんだよ」
「え? あっしが? 死んでる? いや、そ、そうかなぁ…。あっしは今、死んでる気がしてないんだが…」
「おい、お前はとことん暢気な野郎だな。早くしねぇと、誰かにお前の死体を運ばれちまうじゃねぇか。じゃ、お前は昨日の夜、何してた?」
「え? あっしは浅草観音様とは反対側の三ノ輪(みのわ)のほうに出かけて、帰りにいっぱい引っ掛けたが、千束(せんぞく)あたりから、…わからねぇ。今も飲みすぎたのか、頭がいてぇや…」
「ほら見ろ! お前はそのあたりで死んだんだよ」
「じゃ、何で浅草の観音様の裏に死体があるんだい?」
「馬鹿。ヨタカに連れ去られたんだよ」
「そうか…。道理で吉原の大門あたりから記憶がなくなってる…。そりゃ、てぇへんだ!」

早速現場へ引き返す二人、いや二匹でして。
「お~い。カマキリのお役人さん! 死体の本人を連れて来たよ」
「お役人さん~。あっしの死体はどこにあるんでぃ?」

カマキリ役人、呆(あき)れ顔で、
「…あ、おかしいやつがまた増えたよ」

オンブバッタ、死体を確認しやす。
「あ、確かにあっしだ。だけどあっし、こんな目玉、大きかったか?」

すかざず親分、
「そりゃよぅ、お前には分からんかもしれんが、死んだうちに目玉がふやけちまったんだよ」

「じゃ、こんなに体長が長かったか?」

「いや、お前は知らねぇかもしれんけど、夜露で体が伸びちまったんだよ」

「そうかなぁ…。そうかもしれねぇなぁ。なんかやせちまってるし…。可哀想になぁ、死んだおいら…」

「おい、オンブバッタの…。良かったな。その死体、抱き起こして、一刻も早く引き取ってやれよ」
マダラカマドウマ親分が促(うなが)しやすってぇっと、

「へいへい。あっし…、親分には感謝してやすよ。…それにしてもなんて情けねぇ姿になっちまったんだろうな…」
オンブバッタはオンブバッタでさめざめと泣き始めやしてな。もうどうにもならねぇ…。

「…じゃ、あっしが責任もって引き取らせていただきやすんで…」
オンブバッタ、カマキリ役人にも一言、礼を言いやして、それから、このショウリョウバッタモドキの背中を泣きながら抱いて歩こうとしたんですがな、そのうちに自分が抱いてるのか、それともおぶらされてるのかさえも分からなくなりやしてな。俄(にわ)かにパニクりやして…。
「だけどあっし、もう何が何だか訳がわかんなくなっちまった…」

マダラカマドウマ親分、怪訝(けげん)そうに、
「何が分からなくなったんだよ?」
聞いてみますってぇっと、オンブバッタ、

「えぇ…。 あっしがおぶってるオンブバッタは確かにオンブバッタだけどよぅ、おぶられてるこのあっしは、オンブバッタなんだろうか?」

…まあ、「粗忽長屋(そこつながや)」ですってぇっと、こんなようなんが無難なオチなんでしょうけど、粗忽亭の粗忽たる所以(ゆえん)は、こんなオチじゃ済まさないところにあるんですな。
「粗忽長屋」、いや、「粗忽オンブバッタ」にはもちろん続きがありやしてな…。

…これを聞いて、冷静沈着だったカマキリの役人までとうとう混乱しだしやしてな。

「じゃあ、お前さんがショウリョウバッタモドキだったのかな…」

…やるんじゃなかったかもですな。やってオチかどうかも分からなくなりやしたんですが、お客さん、責任を持って、このオチを持ち帰ってくださいやし。
これを演じてる粗忽亭も、つられて頭が混乱しだしたんで、あっしもここでお開きにしたいと思いやす。

「粗忽オンブバッタ」ってぇ一席でご機嫌を伺わせていただきやした。

お後がよろしいようで…。

m<●>m!
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