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お家寄席79・寝床

さて、今日は「寝床」の一席です。
こちらもおなじみの落語ですが、サゲはちょっとだけ違います。
・・・ではこちらは、平成18年1月14日の作品です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1月14日 凝っては思案にあたわず・・・お馴染みの寝床です

え~、毎度ばかばかしいお笑いを・・・。

「凝っては思案にあたわず、凝らざればその味わいがわからず」・・・なんて申しやすな。
何事も凝ってみなくてはわからねぇが、度が過ぎるってぇっと周りにまで迷惑をかけちまうもんですな。

今も昔も仕切りたがりの社長がいやして。
で、この社長、2次会になると必ずカラオケに行きたがる・・・。
「よ。2次会行こう、2次会・・・カラオケ行こう」
やだとは言えず、お座なりにもできねぇんで、ボーナスのためにしょうがなくついていくってぇっと、化け物と同類の声がカラオケボックスいっぱいに響くからたまったもんじゃねぇ。おまけにエコーもビンビンに効かせやしてな。

♪~あ~◇☆*×◎・・・φ^±^ノ

とにかく、しっちゃかめっちゃかな声で歌ってる、ってぇか、がなってる・・・。

で、忘年会の当日になるってぇと、例年、部下たちはひそひそ声でこう話やすな。
「・・・おい、今日宴会だな! あれ、持って来たか?」
「・・・ああ、持って来た持って来た、三種の神器(さんしゅのじんぎ)だろ?」
「・・・そうそう。じゃ、カバンの中見せてみろ」
「・・・ほらこれ。まずは悪酔いするから胃薬だろ、それから大切なこれこれ耳栓!」
「・・・おい、あと1つは」
「・・・心配いらねぇ。忘れてねぇよ。社長を寝かせる睡眠薬」
なんて、困った部下がおりやしてな・・・。

どんな時代でも「寝床」の源になるネタなんては転がっているようでして・・・。
まあ、さしずめ、アニメならば、ドラえもんに出てくるジャイアンのリサイタルって言ったところでしょうな。

・・・昔もこんなのがおりやして。
こちらは昭和初期。江戸のある大きなご商家ですな。
大旦那恒例の「義太夫の会」が始まるってぇんで、店のものは気が気じゃねぇ。
それに大店(おおだな)ですんで、金に糸目をつけないんですな。遠慮なく義太夫を語りやす。その日は早々から舞台を作って、あとはもう語るだけってくらいに、入念に準備をしやして。

最後に、生卵にさらしを買ってきてくれ、と頼まれた番頭は、
「生卵にさらしって、けが人でも出たんですか?」
余計な茶々を入れやしてな。

大旦那、途端に不機嫌になりやして、
「そうじゃない! なんでそんなことを言うんだ! 義太夫を語るにはいい声が出なきゃダメなんだ。さらしを巻いて生卵を飲んで頑張ろうという矢先に水を差すことを言いやがって」

・・・話は横道にそれやすが、まあしかし、義太夫ってなんであんなに唸るんでしょうかねぇ・・・。
♪う~~~~~ん・・・む、う~~~~!
なんてね。
それに義太夫の野次(やじ)には独特なもんがありやすな。落語家に義太夫の野次を飛ばされても無駄ですよ。困るんですよ。
「いよ! 大統領!」
なんて言われても、
「おや、あっしは大統領じゃねぇんでござんすけどねぇ・・・」
って返って来るだけですし。
「どうするどうする!」
って言われてもねぇ・・・。こんな商売ですからな、どうしようもねぇんですがな。

ここで軌道修正しやす。元の落語に戻りやしょう・・・。

「茂蔵(しげぞう)。今日は義太夫の会をやることになっている。早速、長屋のものを呼んで来てくれたんだろうな」
「はい。呼んでみました」
「何だ、その呼んでみましたってぇのは? 提灯(ちょうちん)屋はどうした?」
「提灯屋さんは、明日までに鬼灯(ほおずき)提灯を100個作らなければならないってぇんで、残念なんですが今回は遠慮しますってことでした」
「・・・そうか。それは大変だ。可哀想なやつだな。今度さしでみっちり語ってやるからって言ってやりな。じゃ、金物屋はどうした?」
「金物屋さんは、無尽(むじん)でどうしても来られないって・・・」
「いいよ、しょうがないよ。じゃ、小間物屋さんのところはどうした?」
「おかみさんが臨月でして・・・って、里方に知られるってぇっと大変だからって、残念ながら誰も来られない」
「いや、いいんだよ。心配事があってわしの義太夫を聞いたって、こっちの芸にも障(さわ)るならな。カシラはどうした?」
「カシラは今日朝早く用事で成田に出かけました。電車で行ったようですがこれが始発の5時6分発。この間なんて、5時7分に駅に着いたらちょうど電車が出ちまって。車掌の後姿を見て歯軋り(はぎしり)を・・・」
「そんなことはどうでもいい! 長屋のものは誰が来るんだ!」
「・・・いや誰も来ないんです」
「じゃ、遠まわしに言うな。長屋のもの、誰も来られませんでした、報告終わり!・・・これでいいじゃないか。じゃ、店の若い者に聞かせよう、一番番頭はどうした?」
「一番番頭は、今日義太夫の会があるって言ったら、じゃ、今日は用をこしらえようってさっさと出かけちゃいまして」
「二番番頭はどうした?」
「昨日飲み過ぎて二日酔いだそうで・・・」
「三番番頭はどうした?」
「胃痙攣(いけいれん)だそうで・・・」
「幸蔵はどうした?」
「幸蔵どんは眼病でして・・・」
「何だ? 眼病とは?」
「大旦那の義太夫はリアルですからね、旦那の義太夫を聞くと悲しくってってより、情けなくって涙が出るんです。すなわち、目に来るんですね。で、何の祟り(たたり)か、目にものもらいが出来たんですよ。それから医者に行ったらしいんですが、
『え? あの大旦那の義太夫を聞いて目を患(わずら)ったの? 大旦那の義太夫を聞いたって今度から保険はきかないよ~』
なんてはっきり言われたようですよ」

「じゃ、身内だ。うちの家内はどうした?」
「奥さんは今日、義太夫があるって聞いたらすぐさま、
『ああ、そうかい? じゃ、お里に帰らせていただきます』
なんて言って子供を連れて故郷に帰っちゃったんで」
「ばあやはどうした?」
「ばあやは床にふせっておりまして・・・」

「おい、じゃ、茂蔵。お前はどうなんだ」
「あの・・・私は因果と丈夫で」
「何だと! 因果と丈夫だと? 人間は無病息災(むびょうそくさい)、こんなにいいものはないんだぞ! それを因果と丈夫とは何だ!」
大旦那に偉い剣幕で怒られやしたんで、茂蔵、すっかりしょげちまいやしてな。

「・・・わかりました。大旦那さんのご機嫌を損じるために言ったんじゃないんですが・・・。覚悟を決めました。私が一手に引き受けましょう、さあ、殺してください」
「何だ何だ?」
「・・・国を出るとき、おふくろが言ってたよ。お前の大旦那はいい旦那だよ。でも、義太夫にだけは気をつけろって・・・、ヨヨとばかりに泣き崩れ・・・」
「おい、わしが義太夫を語って、お前が浪花節(なにわぶし)をやってるようじゃしょうがねぇじゃねぇか! おい、よく聞けよ。お前さんに言ったってわからないだろうけど、義太夫なんて名人上手がやってたありがたいもんなんだよ。それをわしがご丁寧に節までつけてるんだよ」
「節がつくだけ情けない・・・^±^ノ」
「何? この野郎! でもこっちは木戸銭を取らないどころか、ご馳走まで出してるんだ!」
「木戸銭なんか取ったら訴えちゃう・・・^±^ノ」
「この野郎! ああいえばこういう・・・もう怒ったぞ」
「大旦那さん、怒ったの?」
「ああ、怒ったとも! マッカチン(アメリカザリガニ)だったらはさみ振り上げちゃう・・・。猫だったらフ~って言っちゃうよ! よ~しわかった。おい、番頭! もう一度長屋をまわって店子(たなこ)に伝えておけ。明日限りで長屋を出てってもらう・・・って! どうせ長屋にいたら義太夫を聞かなくちゃならねぇんだ。で、店のものもそうだ! もう12時限りで店立て(たなだて)だ! もう寝ちまう! こんな舞台、ぶっ壊せ!」

大旦那、布団かぶってパッと寝ちまいやしてな。こうなるってぇっとまわりも穏やかじゃねぇ・・・。なにしろクビになるかどうかの瀬戸際でして、てめぇらの首筋も冷てぇんですからな。
「どうしよう・・・」
なんて思案の挙句、
「まあ、一段でも聞けばいいじゃないか」
って結論になりやしてな。

で、長屋のものを皆揃えて、大旦那のところへ連れてったんですがな。大旦那、すっかりへそを曲げておりやして。
「何だ? 早くも別れを言いに来たのか?」
「そうじゃないんです。大旦那さんの義太夫を皆さんが、今か今かと心待ちにしてるんですよ」
「今更見え透いた嘘つくな!」
「いや、本当に聞きたがってるんで・・・」

って、見るってぇっと、ずらっと並んで、
「大旦那様~。ぜひ義太夫を~」
なんて懇願されたもんですから、心持ちがくすぐったい。
「しょうがねぇ、じゃ、一段だけだぞ」
ってぇことになりやした。

「あれ、提灯屋。よく来たねぇ~。仕事はどうしたぃ?」
「へぃ。あっしも大旦那と同じくらい義太夫が好きなんですよ。今日も気が気じゃない。今頃お客さんはどうやって逃げてるか・・・なんてちっとも思っちゃありやせんぜ。それで居てもたってもいられず、そわそわしてるってぇっと、かみさんから余計な一言・・・いえ、一計が案じられやしてね。仕事は若い者に任せて、あっしには義太夫を見ていいって許可がおりましてね・・・いや、迷惑な話・・・い、いや、め、名人の義太夫を聞かなければ明日は来ないですな、はっはっは・・・」
「それで気に入った。胸のつかえもすっかりとれた。そうか。こっちも芸惜しみしてるなんて言われたくないし。じゃ、みっちりやろうじゃないか!」
「・・・ありがとうございます!」

で、始まりやしたな。ドラえもんに出てくるジャイアンのコンサートにも似た、恐怖の義太夫が。

「でも、いいお酒にいい料理が並んでるじゃないか。いえね、あの大旦那さん、本当にいい人なんだよ。でもね、義太夫が玉に瑕(たまにきず)なんだ。人が変わっちゃうからね。以前だって、知ってるだろ? 源三爺さん。耳が遠いの・・・あれ、義太夫のせいだってぇんだよ。誰も義太夫を聞くのを避けたいからって、あの爺さんを盾(たて)にしたねぇ。まるで防空壕(ぼうくうごう)だよ。大旦那がうんうん義太夫を唸ってるうち、爺さん、癲癇(てんかん=ひきつけ)をおこしてひっくり返っちゃったよ。その上熱まで出てね、医者に言われたよ。それはギダ熱だって。どんな特徴かって言うと節々(ふしぶし)が痛むんだって」
「まあまあ。いいじゃないか。ほめてあげましょう」
「そうだな・・・うまいぞ! 刺身!」
「刺身じゃなくって、大旦那にだよ」
・・・なんてな。

「どうするどうする!」
「よ! 大統領!」

最初のうちこそ、お声が掛かったんですが、しばらくするとまわりがシーンとしやして。
どうしたのかなと、大旦那が、ふとお客席を見るってぇっとと、番頭さんをはじめ、皆、河岸に上がったマグロみてぇにごろごろ寝ちまっている・・・。再び怒った大旦那。

「おい! 起きろ! おい、もう、義太夫は終わりだ!」

その声に番頭、ここぞとばかりに、

「何? 終わり?・・・え~、ありがとうございやした、ありがとうございやした、お忘れ物のないように・・・」
「この野郎。池袋演芸場のばばあみたいな声を出しやがって・・・」
「・・・すみません・・・。悪気があったんじゃないんです。義太夫が終わったんで、嬉しくってつい、舞い上がっちまって・・・すみません」

このせりふを聞いて、大旦那、さらにカチンと来やしてな。番頭に大目玉。

「おい、しっかりしなよ! 番頭さん。完全に悪気だよ! 三十、四十と重箱みたいに年ばかり重ねやがって。寝てるお客さんを起こしてやるのがお前さんの仕事じゃねぇか。せっかくわしが義太夫を聞かせてやってるのに・・・」

ふと見るってぇっと、小僧の定吉だけが泣いておりやして。

「お、定どん。お前さんだけだ。わしの芸に泣いてくれるのは・・・。偉いなぁ。よし、気に入った。のれん分けてやるぞ。番頭を飛び越して、お前さんが若旦那だ。いきなり真打だ。こぶ平さんと一緒だぞ」

「うわ~ん」
それでも定吉、泣いておりやす。

「どこだ? どこか、悲しいところがあったんだろ? それで良かったんで泣いてるんだろ? どこが良かったんだ? 惣五郎の子別れのところか?」
「そんなところじゃない・・・」
「え? 別のところが良かったのか? 馬方三吉かい? 定どん、いったいどこが良かったんだ」 

するってぇっと、定吉、舞台を指差して、
「あすこ(あそこ)が良かったんでございます」

「あすこはわしが義太夫を語った舞台だぞ」

「ええ、あそこが私の、寝床なんです・・・あそこで寝かせてくれたら良かった」

お馴染み、「寝床」ってぇ一席でした。

・・・お後がよろしいようで。

(注)・・・本当のサゲは「どこが悲しかった?」って語らなくちゃならねぇんですが、これじゃ、悲しむしげどんの理屈が合わず、高座から下がるに下がれませんので、あえて粗忽亭が少し変えてみやした。

m<●>m!
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