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お家寄席88・大工調べ

さて、今日は「大工調べ」の一席です。
店賃のかわりにと大工道具を大家さんにとられた与太郎と、怒鳴り込む棟梁。それが裁判沙汰となり・・・はたして?
・・・ではこちらは、平成18年4月5日の作品です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

4月5日 大工調べ(でぇくしらべ)の一席を・・・

えー、一時(いっとき)、子供の夢で、大工(でぇく)さんがもてはやされたことがありましたな。

しかし、実際は大変なんですな。

雨にでもなると、足元が滑りやすし・・・。冬の身の凍る日でも、夏のかんかん照りん中でもやらなきゃなりませんし。
ただ、棟上げ式ですか。大工さんがいちばんホッとする瞬間らしいですな。

今日は、そんな大工さんが主役の、「大工調べ」ってぇ一席でございます。

大工の棟梁(とうりょう=江戸弁でとうりゅうと言いやす)、政五郎が、ある日与太郎に、
「おい、与太。久々に仕事を持ってきたぞ。長い間遊ばせちまってすまなかったな。今度のはちょいと金になるぞ。20日で2両にちょいと手間賃はずんでくれるんだってさ。
まあ、高いってほどじゃねぇけどよ、まあちょいとはこれで楽になるだろうよ」

ところが、与太郎は浮かぬ顔でしてな。

「何だ? 与太郎。浮かねぇ顔して・・・」
「あの・・・あの・・・あのね。困っちゃったの。あたいの大工道具が・・・ないの・・・」
「どうしたんでぃ? まさか質に入れたんじゃねぇだろうな」
「質屋には・・・入れてないの」
「じゃ、泥棒にでも盗(と)られたのか?」
「泥棒・・・でもない・・・」
「じゃ。大工道具はあるんだろ?」
「ある・・・。ある・・・けどない・・・」
「何だよ、あるけどねぇって・・・」
「あすこにあるけど、ここには・・・ない」
「いまいましいな~。じゃ、どこにあるんだよ」
「大家さんのところ」
「じゃ、取りに行って来いよ」
「それが、ダメなの。家賃のかたに、取られちゃった」
「家賃のかただって? で、どのくらい貯めたんだ?」
「1両と2分と800(文)」
「恐ろしく貯めやがったなぁ」
「あたいが貯めたんじゃぁないよ」
「じゃ、誰が貯めたんだ」
「誰が・・・って、何にもしなかったらこんな大金になってたの~」
「じゃ、おめぇが貯めたんじゃねぇか!」

ここでちょいと、横道にそれやすが、ちなみに1両は今でいうと、12万円くらいですかな。で、2分ってぇのは、4分で1両ですから半両、6万円くらいですな・・・。800は800文のことでしてな、4000文で1両、5分の1両ですから、まあ、2万4000円くらいってぇことで。
与太郎は、しめて20万4000円もの家賃を貯めてたんですな。

ついでに言うってぇっと、800文は2万4000円ですから、つまり1文は30円ですかな。
時そばで言うところのそば代は16文ですから、480円ってことですかな。
かけそばにちくわ(なかにはちくわも惜しんで麩を入れることも)、油揚げ(これも入ったり入らなかったり)を入れた程度のそばですたから、480円ってぇのは相場でしょうな。
「今何時でぃ!」
ってごまかした金額はせいぜい30円ってぇことですからな。
せこいっていえばせこいですな。
千両富に当たるのは1億2000万ってことですかな。
「10両盗めば首が飛ぶ」っていうのは、120万円くらいでも、人のものを盗めば死罪だったことでございやして・・・。

逆算するってぇっと、「100円ショップ」は「3文ちょっとショップ」ってぇことでしょうかな・・・。
「早起きは3文の得」ってぇのも、90円くらいってことですかな。

まあ話はちと外れてしまいやした。元に戻しやしょう。

「しょうがねぇ・・・与太郎。あっしがその店賃(たなちん)、立て替えてやるから、すっきりしな」
「棟梁(とうりゅう)、すまないな」

で、棟梁からお金を受け取ると、手にしたのは1両と2分でしてな・・・。

「あ・・・あの・・・棟梁」
「なんだよ」
「ここにあるのは・・・1両と2分だねぇ」
「そうだ・・・1両2分だ」
「あ・・・あの・・・あたいが貯めたのは1両と2分と800で・・・」
「じれってぇな。残りの800はどうしたんだと言いたいんだろ?」
「そうそう。そうなの。棟梁、ひょっとして、心理学者?」
「心理学者がなくても、おめぇの考えなんぞは透き通るほどわかるよ」
「じゃ、800・・・」
「800は今持ってねぇんだよ。いいじゃねぇか。1両2分を持って行くんだから御(おん)の字だよ」
「なぁに? 4の字って・・・」
「4の字じゃねぇよ。御の字だってぇんだよ。1両2分800のところを800持って行くんじゃねぇ! 1両2分を持って行くんだから、あたりめぇだ、べらぼうめってぇんだ。でも相手は大家さんだ。こんなくだらねぇ犬の糞(くそ)みてぇなことで喧嘩になっちゃつまらねぇだろ。お互い顔もつぶれちまうし・・・。だからさ、大家さんにこう言いな。
『今日のところは1両2分をお持ちしました。残りの800はたかが800ですから、仕事をしてから、何かのおついでにでも放り込ませますから』
って。さっさと行って来い!」

ここで、「今日のところは・・・」って言わなくちゃならねぇのに、与太郎、肝心な口上(こうじょう)をすっかり忘れちまった・・・。で、大家の家に着いて・・・。

「大家さん。あたい、店賃持って来たよ」
「ほう。与太郎か・・・。店賃持って来たのか。じゃ、出しなさい」

で、与太郎が1両2分を「ほらよ!」って放ったんで、
「こら。与太郎。お前さんはお金を放って・・・。放るもんじゃねぇよ。罰(ばち)が当たるよ。お金はお宝っていうくらいありがたいものなんだぞ。・・・で、持って来たのは1両2分か? あと800残ってたよな。残りはどうしたんだ?」

「大家さん。・・・それは4の字だ」
「何だって? 4の字って・・・」
「4の字じゃねぇ・・・。御の字だってぇんだ。1両2分800の800じゃねぇ。1両2分持って行くんだから、あたりめぇだべらぼうめってぇんだ。それで、大家さんの・・・んーと、つまらねぇつぶしたような顔は馬の糞(くそ)、いや、違ったな、牛の糞・・・、これも違った・・・、そうそう・・・犬の糞ってぇんだ。・・・だから、大工道具返せ」
「何だ? 与太郎! 何だその態度は! 喧嘩(けんか)売ってるのか!」

大家さんはもうカンカンに怒りやしてな。

「与太郎。どうやらそれはお前さんの口上じゃないね。誰かの差し金だろ! わしはその差し金をしたやつが憎いよ。その差し金を、出せ」
「差し金は、大工道具の中だ。大家さん、大工道具返しておくれよ」
「大工道具だと? この大工道具は残りの金を全部払ってから渡すよ」
「大家さん、それはずるいよ~。じゃ、お金返してよ」
「これは店賃の前金(まえきん)として預かっておくよ。その差し金に行っときな。大工道具は全部店賃を出してから渡すって・・・」
「差し金は大工道具の中で・・・」
「うるさい! とっとと出直して来い!」

与太郎、とぼとぼと政五郎のもとへ戻りやす。で、事情を話すってぇっと、
「お前は透き通るようなバカだな。それは俺たちの内輪話だろうが。内輪話だけして肝心な話をしねぇとは、情けねぇ野郎だ。大家さんもさぞかし怒っただろう?
で、大工道具は?」
「ない。大家さんのところ・・・」
「じゃ、銭は?」
「大家さんに取られた・・・」
「じゃ、店賃(たなちん)だけ取り上げババアか?」
「ううん。じじいが取った」
「そんなこと言っちゃいねぇよ。・・・しょうがねぇなぁ。じゃ、あっしが大家さん所へ詫(わ)びに行くから一緒について来い!」

こういう場合、表から入っても取り付く島もありませんからな。で、裏から回って勝手口から入りやして・・・。
「ごめんくださいやし・・・」
大家さんにゃ与太郎の行動を詫びて、その事情を説明して、床に頭をこすり付けるように、平身低頭に謝ったはずの政五郎なんですがな。
当然、大家はまだかんかんですな。ましてや、差し金がわかった時点で、余計に腹がたちやす。

「大家さん、誤解なんですよ」
「誤解も六階も、モーゼの十戒もあるか! とにかく、残りの800持って来ねぇうちは大工道具、渡さねぇから、そう思え!」
「大家さん、与太郎の言ったことは誤解なんですよ。あっしはね、こいつにこう教えたんですよ。
『今日のところは1両2分をお持ちしました。残りの800はたかが800ですから、仕事をしてから、何かのおついでにでも放り込ませますから』
ってね・・・」
「何だ何だ? つまらねぇ言い訳か。そうかい。てぇげぇ(大概)の話はわかったよ。
・・・でも棟梁、お前さんもおかしなことを言うね・・・。
大体、たかが800とはなんだよ。そっちはたかがかも知れねぇがこっちゃお宝だ。どこを掘っても800なんて出て来るわけねぇ。それもいい・・・何かのおついでにでもって、ついでがねぇと一生持って来ねぇつもりか? 放り込ませましょうって、うちは賽銭箱(さいせんばこ)じゃねぇよ。当たり所が悪けりゃ怪我すらぁ!」

交渉も平行線ですな・・・。

「そんな、大家さん・・・。うちらは職人でぃ。言葉が乱暴だったらすまねぇ・・・。勘弁しておくんなせぇ・・・。こいつにきつく叱っておきやすから・・・。でも、まぁとにかくその大工道具がないことにはこっちゃ何も出来ねぇんですから・・・。大家さんのところに置いといても、何も役に立たねぇでしょう。いいじゃねぇですか。意地悪しねぇでさ、返してくれませんかねぇ・・・」
「意地悪だよ、どうせ! 意地悪は生まれつきだ。だからどうしたってぇんだい!」
「大家さん、そんな因業(いんごう)な・・・」
「どうせ因業だよ。だけど、ついに本性が出たな。こっちゃ、いつも因業大家で名が通ってらぁ。棟梁、棟梁っておだてられたらいい気になりやがって・・・。こっちは町役(ちょうやく)だよ! たかが棟梁のくせに生意気なことを言いやがって・・・」
「大家さん、へそを曲げねぇで、そこんところを・・・」
「どうせへそ曲がりだよ。だめなもんはだめなんだ。さあ、さっさと帰った(けえった)帰った! 帰れ(けえれ)! ばあさん、こいつらが帰ったら塩まいてやんな!」
「・・・それじゃ、あっしがこんなに必死に謝って頼んでも、どうしても大工道具、返しちゃくれねぇんですかぃ?」
「返さないよ、だからどうした!」

「じゃ、いらねぇってんだ! この丸太ん棒め!」

とうとう政五郎、切れやしてな。びっくりしたのは一緒にいたばあさん。ショックで座りションベンしちまいやして。

「な・・・丸太ん棒だと?・・・ほう? 今度は逆ギレかい! 町役、この大家に向かって丸太ん棒とは何だ!」
「てめぇなんざ、丸太ん棒に違いねぇじゃねぇか! 目も鼻も口も、心もない野郎だから丸太ん棒って言ったまででぃ! 黙って聞いてりゃぺらぺらぺらぺら、図に乗りやがって! てやんでぃべらぼうめ! この馬の骨め! てめぇの素性(すじょう)を洗いざらしにしてやるから、よく耳の穴かっぽじって聞きやがれってぇんだ、くそったれ大家が!
てめぇが町役(ちょうやく)だの大家だのってほざいてられんのも、死んだ六兵衛さんがいたからじゃねぇか。てめぇ。六兵衛さんの恩もすっかり忘れやがってるってぇっと、今に罰(ばちが)が当たるぞ! てめぇはその時何してやがったってんだ! 一枚っきりしかねぇ衣をはおり、芋を洗いましょう、薪(まき)を割りましょうってゴマばっかりすって、細く長くかすかすに食いつないで生きていただけじゃねぇか!」
「な、何だと? 細く長くだと? それを言うなら太く短くっていうんだよ!」
「何言ってやがんでぃ、べらぼうめ! 太く長くはそれなりのやつが言えるんでぃ。てめぇなんざ、細く長くに違(ちげ)ぇねぇじゃねぇか! けちけちけちけちしやがって・・・。それだけじゃねぇ! 六兵衛さんがいた頃のふかし芋は本場川越から仕入れたいい芋だったよ! てめぇの売ってる芋なんかそんな気の利いたもんじゃねぇだろ! 金をごまかしごまかし仕入れてるから悪い芋ばかりだ! その芋喰ってこの町内で食中毒で死んだ子供が何百人いると思ってるんでぇ! この人殺しめ!
それからそこにいるババァは六兵衛さんのかかあじゃねぇか。当時は黒アブラを頭に塗ってオツにすました、やな野郎だったぜ。で、六兵衛さんが死んでから、いつの間にか、昼も夜も、べったりダラダラとくっつきやがって! おい! 与太郎! 前に出ろ! このくそったれ大家に毒づけ!」

与太郎、啖呵(たんか)にびびったのか、弱気でして・・・。

「ねぇ・・・棟梁(とうりゅう)・・・もうやめようよ~」
「てめぇは悔しくねぇのか? いいから毒づけってぇんだ! こんなカビ臭え(くせえ)所を出たあとは、あっしが住むところもどれもこれも一切合財(いっさいがっさい)面倒見てやるから、遠慮しねぇで毒づけってぇんだ!」
「そうかい? 面倒見てくれるのかい? と、棟梁・・・じゃ、安心して毒づいちゃうぞ!
覚悟しろよ! や、やい! 大家さん!」
「大家さんなんかいらねぇ! 大家で充分だ!」
「でも棟梁、さんがないと、さいころが困る」
「ここで博打の話してるんじゃねぇよ! とにかく呼び捨てにしろ!」
「よ、呼び捨てだな! よーし、覚悟しろよ~! や、や、やい大家! てめぇ、この馬の骨! ・・・犬の骨! ・・・しゃもの骨! ・・・からかさの骨!」
「この野郎! 骨ばかり並べるな!」
「ああ・・・、どうりで骨が折れる・・・^±^」
「いいからもっと毒づけってぇんだ!」
「やいやい大家! お前なんかケチだから、六兵衛さんが死んだって香典あげてねぇだろ!」
「お、与太、たまにゃいいこと言うじゃねぇか」
「あたいもあげてねぇ・・・^±^」
「そんなことおめぇにゃ、どっちでもいいんだよ・・・」
「大家! 丸太ん棒・・・。四角かったら角材だ! この野郎! 一枚っきりのふんどしをはおり・・・、い、い、い、芋を割りましょう、薪を洗いましょうって・・・ゴマばっかりかけやがって・・・。そしたらだいがく芋でも出来たんだろ! うまそうだな、あたいにも一口・・・食わせろ!」
「おい、何言ってるんでぃ! とんちんかんな毒づき方だな。それに芋を割りましょう、薪を洗いましょうって、それじゃあべこべだよ」
「そ、そう。あべこべだ! べらぼうめ!」
「与太、お前に言ってるんだ」
「そうだ!・・・あ、あたいに言ってるのか・・・」
「そうだよ! どんどん毒づけ!」
「そこにいるババァは黒アブラなめたいやなババァだ!・・・それから、ん~と・・・六兵衛さんが死んで、昼も夜も、二人でべったりダラダラとくっつきやがって、チクショウ~! うらやましい~。コノコノ~! こっちにも誰か紹介しろ!」

与太郎の毒はまるで毒になりやせんでしたが、・・・そんなこんなで、とうとう奉行(ぶぎょう)所に駆け込むことになりやして。

数月後、大岡越前のお膝元、南町の奉行所で、お裁きが始まりやしてな。
お白洲で、家主、政五郎、与太郎が並んで裁きを受けやす。

「これ、家主。そちの訴えによると、大工の与太郎が店賃を貯めた挙句に払う段になって、すべてを払わず、加えて罵詈雑言(ばりぞうごん)を吐いたと言うのだな」
「そうでございます」
「これ、与太郎! なぜそのようなことをした?」
「だってあたい、大家さんが丸太ん棒に馬の骨だから、そう言っただけで・・・」
「黙れ黙れ! 大家は親も同然、店子(たなこ)は子も同然と申すでないか!」

この一方的なやり取りを耳にして、堪らなくなったのが政五郎でして。
「お恐れながら申し上げます。家主には1両2分は支払ったのでございます。それはあっしが立て替えたのですが、お奉行様、残りの800(文)は都合で、その時には支払えなかったのでございます・・・」
「そちは?」
「ははっ、この与太郎の棟梁(とうりゅう)、政五郎にございます」
「で、政五郎。その時は払えないと申したが、今はその金子(きんす)はあるのか?」
「さいでございます・・・」
「では、家主に直ちにそれを払いなさい・・・。家主は大工道具を与太郎に渡しなさい。・・・ここで休憩といたす」

ここで納得いかないのは政五郎と与太郎ですな。それはそうですな。ここまでは家主の「一方的勝訴」ってわけですからな。

「くっ! お奉行様も結局は強いものの味方なのか・・・」
などと思いながら家主に残りの店賃を渡しやす。

一方、家主側は大喜びでして。
「ざまぁみなさい・・・たかが大工の分際で、このわしに逆らうなんざ十年早いわ・・・」
などと、受け取りながら、こちらは心ん中でペロリと舌を出しやすな。

で、休憩後・・・。再び取り調べが行われやしてな。

「これ。政五郎。家主にちゃんと残りの店賃を渡したか?」
「く・・・わ・・・渡しやした・・・」
「では、今後、ごたごたのないよう、仲良く暮らせよ・・・。ところで家主」
「ははぁ・・・」
「この与太郎の大工道具を預かったのであるならば、当然質屋の鑑札(かんさつ=免許)は持っておるな。それを見せなさい」

今度あわてたのは家主のほうですな。
「・・・い、いえ・・・その・・・」
「何をうろたえておるのじゃ? 当然持ってるんだろう。すぐに鑑札を見せなさい」
「あ・・・あの、鑑札は持ってません・・・」
「なんと申した? 鑑札なくして、与太郎の大工道具を預かったのか?・・・この無礼者! そこになおれ!」
「ははぁ・・・」
「本来ならば、重き罪に処すところだぞ! 家主! 与太郎がその道具がないがために仕事にも出られなかったのだ。与太郎にその仕事の手間賃をすぐに支払いなされ」
「ははぁ・・・」

今度はお奉行、政五郎に向かって尋ねやす。

「大工の手間賃はいかほどかな?」
「へぇ・・・。20日間仕事が滞っちまったんで、3両ほどなんでがす」
「何? なんと申した? 3・・・300匁か?」
「・・・い、いえお奉行様。さ、さん・・・」
「これ、政五郎。正直に申せ。ためにならんぞ。大工の手間賃は確かに300匁だな?」
「・・・へ、へぇ。さいでがす。300匁でがす」
「では、家主。すぐに300匁、棟梁の政五郎に払い、それから政五郎は手間賃を与太郎に払うように・・・これにて一件落着!」

ここで300匁(もんめ)ってことは、1匁は1両の60分の1の値段でして、300匁だからちょうど5両ですな。1両が今の12万円ですから、ざっと60万円ですな・・・。
政五郎の言った大工の手間賃ってぇのが3両ですからな、36万円ってぇことだったんですがな・・・。

面倒くさいですが、ここで経緯(いきさつ)をもう一度おさらいしやしょう。
20万4000円の未払いの家賃で18万円出したのに、残りの2万4000円も持って来いって言ったがために、60万円の罰金を出さざるを得なくなったってことなんですな・・・。
つまらねぇ意地のために、大家、高い罰金を払う羽目なりましたな。x±x

奉行が政五郎に、
「政五郎、1両2分と800(文)の公事を、300匁とはちと儲かったな」
って言いやすってぇっと、政五郎、
「ありがとうございます」

・・・さて、実はここから、落語のサゲが二つあるんですが。
一つは、
「どれ、おなかがすいただろう。こちらで何か食せ」
「いえいえ、このようなお取り計らいをしていただいて食事までは・・・」
「いやいや、遠慮申すな」
「それでは、おおかあくわねぇ(大岡くわねぇ)、たった越前(一膳)だけ」

・・・っていうのがありやすが、ところがこれは本来「三方一両損」ってぇ落語のサゲなんですな。
なぜこうなるかっていいますってぇっと、この「大工調べ」ってぇ落語は本来、「大岡政談」の講釈種(こうしゃくだね)の、「板倉大岡両君政要録」ってぇのに入ってるからなんですな・・・。

で、本筋のほうのもうひとつのサゲで・・・。

「ちと儲かったな・・・」
政五郎、
「ありがとうございます・・・」

「うむ、さすがは大工は棟梁(とうりゅう)(細工は流々)」

「へぇ、調べをごろうじろ~(仕上げをごろうじろ)」

さらに、こちら粗忽亭も、貨幣の調べをごろうじろ。

・・・と蛇足を述べたところで、お後がよろしいようで・・・。

m<●>m!
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