臨時・立川談志さん訃報
立川談志さんがお亡くなりになりましたね。x±x
2011年11月21日、咽頭癌のため。享年75歳。
また落語界に大きな風穴が開いたようです。
師匠は、いいも悪いも、落語の世界からやってきた「申し子」と言っても過言ではなかったでしょう。
師匠の持ちネタは広かったですし、時には落語の世界で憑依されたような迫力もありました。
「三笑亭笑三のRAKUGO人生」(1988年2月版)には、落語家・三笑亭笑三(さんしょうていしょうざ)師匠が、立川談志師匠の人となりを、以下の通りかかれていました。
抜粋します。^±^…実はうちはこの出版社にいたのでした
・・・
「毒にも薬にもなる」談志さん
前参議院議員・政務次官「松岡克由」、タレント議員の面目躍如として大活躍!! だった。私にいわせれば、ツキにツイている(月世界のロケット)落語家です。
もちろん、頭の切れる男(大阪で負傷をしたこともある)として、今なお東奔西走の毎日。
立川談志とかけて、古池や蛙飛び込むと解く。その心は波紋(破門)になる…。柳家小さん師匠の弟子としてとにかく話題の多い人だと思います。しかし、そのバイタリティとファイトには敬服。すべてにチャレンジ精神旺盛で、東宝名人芸に看板を並べて出ていたあのときのことが忘れられません。
十年ほど前、「三菱銀行襲撃事件」で、暴漢がライフル銃を手に、全行員を人質に立て籠もった進行形の翌日である。楽屋入りの私が、寄席後部のドアを開けて中をのぞくと、高座に銃を持って立つ黒眼鏡の男。シーンと静まりかえった寄席。ただ一人その男のわめく声のみが響き渡る雰囲気は、まさに昨日の事件の再現でした。
銃だと思ったのは太鼓のバチで、紋付でなくブレザーのままの談志師匠。観客を銀行員に見立て、威嚇する言葉をポンポンと発射する。ビックリしたような観客の目が、時々、まぜっ返した冗句の弾が打ち込まれると、ドーッドーッと笑いの渦になるのです。
選挙になると、ヘリコプターで全国を駆け巡り、日本銀行発行の絵はがきの束が、ゴールドフィンガーよろしく握られます。
びっちりと埋められた人生を送り、送って、送りつつあるスーパーマンです。
客も賛否両論で、きらいな落語家NO1でもあり、好きな落語家NO1でもあります。
「沈香も焚かず屁もひらず」よりは、毒にも薬にもなる男の方がいい。
すべての物事を歯に衣を着せずハッキリという、それが小さん師匠の逆鱗にふれたらしい…。男らしい男のいなくなった今日、あのメリハリがすばらしいとは思いませんか。
ついこの間、息巻いて私に語りかけて来ました。
「この間大阪の漫才が、あにさんのネタを喋っていた。あれはクレームをつけたほうがいいョ」
「どうもありがとう。良いから、面白いから使うんだろう、こっちはまた、新しいネタを考えるから…」
と応えたら返答不満足、国会での質問に大臣の答弁のような顔付きでした。
しかし、ただ、近頃出版した「楽屋噺」なる著書で、私が赤線地帯へ定期券を買って通勤をしたという文面にだけは、訂正を申し入れたい――。
あれは、あの時分、都電という乗物は何回も乗り換えて、一番遠隔の停留所へ行っても細長い切符をくれて同額だったのです。
同じく定期券も、東京の隅から隅まで乗っても、一停留所・一区間でも同一料金だったのをご存知ありませんか。住んでいた早稲田から、上野・人形町・浅草を経由(全寄席)、タマにはタマが通った「鳩の町」のある向島の停留所まで、購入したわけです。
前座時代で収入もないし、せめてもの生活の知恵。これを亡くなった隠居の馬の助さんに、
「この定期券はスゴイね。こんな遠くまでどうして買ったの?」
と聞かれたのに、洒落で、
「鳩の町へポッポッポとハートは燃えて…」
とやったのが、誤り伝えられたらしいのです。念為。
●25年前のプロフィール
現代のプレイボーイと自他共に許している男性。昭和十一年元旦生まれのおめでたい出生。二十七年に柳家小さんの弟子になり、「小よし」で前座をつとめ、二ツ目に昇進して「小えん」、一昨年真打で立川談志になった。
得意は古典だが、新作でマイペースの漫談をやらせると、他の追従を許さない。手八丁、口八丁、筆も立てばアレも立つ。友人には落語界より映画界に多いというのも、テレビタレントのほうに比重がかかってきた証拠。
日本テレビの毎週月曜日ひる「お笑い昼席」「金曜夜席」では司会やレギュラーをつとめ、喋りまくっている。
NHKの「まんが学校」でもユニークなセレモニーで子供たちにも人気がある。「酒・タバコよりは女性」とつぶやく彼に、いろいろ口説き文句を御伝授願うことにした。
・・・
立川談志さんのご冥福をお祈りいたします。v±v
2011年11月21日、咽頭癌のため。享年75歳。
また落語界に大きな風穴が開いたようです。
師匠は、いいも悪いも、落語の世界からやってきた「申し子」と言っても過言ではなかったでしょう。
師匠の持ちネタは広かったですし、時には落語の世界で憑依されたような迫力もありました。
「三笑亭笑三のRAKUGO人生」(1988年2月版)には、落語家・三笑亭笑三(さんしょうていしょうざ)師匠が、立川談志師匠の人となりを、以下の通りかかれていました。
抜粋します。^±^…実はうちはこの出版社にいたのでした
・・・
「毒にも薬にもなる」談志さん
前参議院議員・政務次官「松岡克由」、タレント議員の面目躍如として大活躍!! だった。私にいわせれば、ツキにツイている(月世界のロケット)落語家です。
もちろん、頭の切れる男(大阪で負傷をしたこともある)として、今なお東奔西走の毎日。
立川談志とかけて、古池や蛙飛び込むと解く。その心は波紋(破門)になる…。柳家小さん師匠の弟子としてとにかく話題の多い人だと思います。しかし、そのバイタリティとファイトには敬服。すべてにチャレンジ精神旺盛で、東宝名人芸に看板を並べて出ていたあのときのことが忘れられません。
十年ほど前、「三菱銀行襲撃事件」で、暴漢がライフル銃を手に、全行員を人質に立て籠もった進行形の翌日である。楽屋入りの私が、寄席後部のドアを開けて中をのぞくと、高座に銃を持って立つ黒眼鏡の男。シーンと静まりかえった寄席。ただ一人その男のわめく声のみが響き渡る雰囲気は、まさに昨日の事件の再現でした。
銃だと思ったのは太鼓のバチで、紋付でなくブレザーのままの談志師匠。観客を銀行員に見立て、威嚇する言葉をポンポンと発射する。ビックリしたような観客の目が、時々、まぜっ返した冗句の弾が打ち込まれると、ドーッドーッと笑いの渦になるのです。
選挙になると、ヘリコプターで全国を駆け巡り、日本銀行発行の絵はがきの束が、ゴールドフィンガーよろしく握られます。
びっちりと埋められた人生を送り、送って、送りつつあるスーパーマンです。
客も賛否両論で、きらいな落語家NO1でもあり、好きな落語家NO1でもあります。
「沈香も焚かず屁もひらず」よりは、毒にも薬にもなる男の方がいい。
すべての物事を歯に衣を着せずハッキリという、それが小さん師匠の逆鱗にふれたらしい…。男らしい男のいなくなった今日、あのメリハリがすばらしいとは思いませんか。
ついこの間、息巻いて私に語りかけて来ました。
「この間大阪の漫才が、あにさんのネタを喋っていた。あれはクレームをつけたほうがいいョ」
「どうもありがとう。良いから、面白いから使うんだろう、こっちはまた、新しいネタを考えるから…」
と応えたら返答不満足、国会での質問に大臣の答弁のような顔付きでした。
しかし、ただ、近頃出版した「楽屋噺」なる著書で、私が赤線地帯へ定期券を買って通勤をしたという文面にだけは、訂正を申し入れたい――。
あれは、あの時分、都電という乗物は何回も乗り換えて、一番遠隔の停留所へ行っても細長い切符をくれて同額だったのです。
同じく定期券も、東京の隅から隅まで乗っても、一停留所・一区間でも同一料金だったのをご存知ありませんか。住んでいた早稲田から、上野・人形町・浅草を経由(全寄席)、タマにはタマが通った「鳩の町」のある向島の停留所まで、購入したわけです。
前座時代で収入もないし、せめてもの生活の知恵。これを亡くなった隠居の馬の助さんに、
「この定期券はスゴイね。こんな遠くまでどうして買ったの?」
と聞かれたのに、洒落で、
「鳩の町へポッポッポとハートは燃えて…」
とやったのが、誤り伝えられたらしいのです。念為。
●25年前のプロフィール
現代のプレイボーイと自他共に許している男性。昭和十一年元旦生まれのおめでたい出生。二十七年に柳家小さんの弟子になり、「小よし」で前座をつとめ、二ツ目に昇進して「小えん」、一昨年真打で立川談志になった。
得意は古典だが、新作でマイペースの漫談をやらせると、他の追従を許さない。手八丁、口八丁、筆も立てばアレも立つ。友人には落語界より映画界に多いというのも、テレビタレントのほうに比重がかかってきた証拠。
日本テレビの毎週月曜日ひる「お笑い昼席」「金曜夜席」では司会やレギュラーをつとめ、喋りまくっている。
NHKの「まんが学校」でもユニークなセレモニーで子供たちにも人気がある。「酒・タバコよりは女性」とつぶやく彼に、いろいろ口説き文句を御伝授願うことにした。
・・・
立川談志さんのご冥福をお祈りいたします。v±v
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