お家寄席95・ぞろぞろ
さて、今日は「ぞろぞろ」の一席です。
この作品で、「持家」の落語シリーズは終了するんですが、実はこの後も作ってたんです。
ところが、更新が出来ない不具合が起こったんですね。
その上やがてパソコンが壊れて、せっかくの取り入れたネタもパーに。x±x
そのネタも今ではどんなものかでさえ忘れてしまったという・・・。
・・・ではこちらは、平成18年7月25日の作品です。25日の作品ですが、クラブ活動関係で本日に繰り下げてお送りいたします。
というわけで、とりあえず落語は今日でおしまいです。
落語をご覧になりたい場合は、カテゴリーから「落語」を選択するといつでも寄席になります。
また、お好きなねたを選ぶ場合は、同じくカテゴリーの「目次(インデックス)」からどうぞ。
お名残惜しいですが、ではまた、いつの日か・・・。^±^ノ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
7月25日 ぞろぞろ・・・ってぇ落語
皆さん、お久しぶりでございやして。
今日は、「ぞろぞろ」ってぇ、ちょいと一風変わった落語でして。
でも、落語には、こんな音が演目の落語もいくつかありやして。
たとえば、この「ぞろぞろ」のほかに「だくだく」、これは以前、あっしが落語を演(や)ったこともありますな。
それから、「とろろん」、「つるつる」なんてのも。「権兵衛狸」は別名、「とんとん権兵衛」とも言いやすし。
四谷左門町の(よつやさもんちょう)に、お岩稲荷なんてのがありやして。いえ、今日はなにも怪談をやろうってわけじゃありやせんがね。このお稲荷さんの近くで茶屋をやってる老夫婦がおりやして。
・・・あ、もう本題に入ってますよ。皆さん、ついてきてくださいね。これが「ぞろぞろ」ってぇ噺(はなし)の頭なんですからね。
実は、この噺にゃ、頭が二通りあるようでしてな、これを「浅草の太郎稲荷」っていって演じる場合もあるんですが、こちらのほうが「おとぼけ」感がありますな。ただ、小さいお稲荷さんですと、名が知れたとしても人々が「ご利益」を求められるのか、ある程度、最初(はな)っから名の知れたお稲荷さんのほうがリアルだってぇこともありやして。
・・・まあ、好きなほうをお持ち帰りください。
とにかくこの老夫婦、悩んでやして。
ってぇ申しますのは、参詣者が近頃、めっきり減っちまって、てんで客足がねぇ。商売上がったりで、どうしようかと思案してもどうすることも出来ませんで、しょうがないから、今日も今日とてお堂を清め、参堂の掃除をし、お稲荷様にお供えをし、願をかけやす。
「お稲荷様。どうか、このお稲荷さんと、出来ますればうちの茶店も繁盛(はんじょう)しますように・・・」
大変、まめでしてな。
老夫婦がいつものとおり、お稲荷さんの掃除が済んで、茶店でひとしきり休んでたある日、突然の村雨が・・・。これがひどい降りで、中野なんかは洪水が出ちまうほどの・・・例の、「集中豪雨」・・・「ゲリラ豪雨」っていうやつで。
「いやぁ、ひどい降りじゃなぁ・・・、こんな降り方は珍しいねぇ、おばあさん・・・」
「そうですねぇ。おじいさん・・・」
って話をしている間、近くの田んぼで農作業をしていたお百姓さんたちが、ぞろぞろとやって来やしてな。
「いやぁ、ひどい降りだねぇ。あ~あ・・・。ちょいと、ここで雨宿りさせてくれねぇか」
「ええ、どうぞどうぞ、ごゆっくり・・・。^±^」
「悪いねぇ。・・・お。この丸い白いお菓子、なんだぃ?」
「ああ、それはハッカ飴でございます」
「ハッカ飴? おかしいな。そんなことはねぇだろう。だって、ハッカ飴って、大概、三角じゃねぇか?」
「いえ、このハッカ飴は仕入れたときは三角だったんですねれどもねぇ、売れないままに、あっちこっち動かしてたら、方々にぶつかって、しまいにゃ、こんなになっちゃいましてねぇ・・・」
「ふ~ん。ハッカも苦労をして丸くなったんだ、世慣れて角が取れたんだねぇ? はっはっは・・・」
「はっはっは、そうかもしれませんねぇ・・・」
そんな世間話をしてるうちにすっかり雨は止んだんですがな、ところが道のあちこちにぬかるみができちまいやして。
「ああ、これじゃ、歩けねぇ。あすこのひもにぶる下がってるわらじ、一足くれ」
「あっしも・・・」
「あっしも・・・」
「ありがとうございます・・・」
これで、わらじは売り切れやして。それでも老夫婦にとっては、久々の売り上げですからな。
「おばあさん。驚いたねぇ。ずっと売れないで残ってたわらじ、今日全部売れちまったよ。これもお稲荷さんのご利益(りやく)だねぇ」
「そうですねぇ。ありがたやありがたや。後で、お礼参りに、行かなけりゃいけませんねぇ・・・」
そこへまた、
「じいさん、わらじ、売ってくれ」
じいさんはもうすっかり売れちまったって確認してたので、丁重にお断りしやす。
「あの、相すみませんが、わらじは売り切れでございまして・・・。申し訳ございません・・・」
ところが、
「じいさん。耄碌(もうろく)しちゃ困るなぁ。ちゃんとそこに一足、かかってるじゃねぇか」
見ると、いうとおり、一足だけかかってる。
「あれ? 変だな? 確かに売りつくしたと思ってたのに・・・」
そう思いながらも、
「ありがとうございます・・・」
ってこれを売っちまう。
「おばあさん。不思議なこともあるもんだ。これもきっとお稲荷様のご利益かねぇ・・・」
「そうですねぇ・・・。またお稲荷様にたんとお礼を言わないといけませんねぇ・・・」
で、その後、またまた、
「じいさん、わらじを売ってくれ」
で、見るってぇっと、ちゃんとわらじがかかってやして・・・。
これを一個売るってぇっと、その後から新しいわらじが、ぞろ、ぞろと出てくるんですな。
まあ、出てくるってぇっか、生えてくるってぇか・・・。
これが噂が噂を呼びやして、このお稲荷さんも茶店もすっかり繁盛しやしてな。
それを見た欲の皮の張った、二番煎じの床屋の親方が、掃除もせず、お供えもせず、一心不乱に願をかけやす。
「どうか、うちの店もあの茶店のように、ぞろぞろと繁盛しますように・・・」
で、さっさと願かけ、帰りますってぇっと、店の前に行列が・・・。
「おぅ親方。どこに行ってたんだよ! 髭(ひげ)あたってくれよ!」
「おう、こいつはありがてぇ・・・」
親方が早速店に戻り、支度しやす。
ところがいくらお客さんの髭(ひげ)を剃っても、なんだかやけに時間がかかるんですな・・・。
「変だな」
と思いながら、また剃るんですがな、何かおかしい・・・。
親方、それでも一生懸命剃る。あせるあせる・・・。
何しろ店の外はぞろぞろと行列が。
「おい、早くやってくれよ!`±´」
行列からも怒号が飛びやして・・・。
「あれ? 変だな。ちゃんと髭を剃ったはずだが・・・x±x」
親方、不思議がりながらもその髭を剃っているってぇっと、その後から新しい髭が、ぞろぞろ・・・^±^
お後がよろしいようで・・・。
m<●>m!
この作品で、「持家」の落語シリーズは終了するんですが、実はこの後も作ってたんです。
ところが、更新が出来ない不具合が起こったんですね。
その上やがてパソコンが壊れて、せっかくの取り入れたネタもパーに。x±x
そのネタも今ではどんなものかでさえ忘れてしまったという・・・。
・・・ではこちらは、平成18年7月25日の作品です。25日の作品ですが、クラブ活動関係で本日に繰り下げてお送りいたします。
というわけで、とりあえず落語は今日でおしまいです。
落語をご覧になりたい場合は、カテゴリーから「落語」を選択するといつでも寄席になります。
また、お好きなねたを選ぶ場合は、同じくカテゴリーの「目次(インデックス)」からどうぞ。
お名残惜しいですが、ではまた、いつの日か・・・。^±^ノ
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7月25日 ぞろぞろ・・・ってぇ落語
皆さん、お久しぶりでございやして。
今日は、「ぞろぞろ」ってぇ、ちょいと一風変わった落語でして。
でも、落語には、こんな音が演目の落語もいくつかありやして。
たとえば、この「ぞろぞろ」のほかに「だくだく」、これは以前、あっしが落語を演(や)ったこともありますな。
それから、「とろろん」、「つるつる」なんてのも。「権兵衛狸」は別名、「とんとん権兵衛」とも言いやすし。
四谷左門町の(よつやさもんちょう)に、お岩稲荷なんてのがありやして。いえ、今日はなにも怪談をやろうってわけじゃありやせんがね。このお稲荷さんの近くで茶屋をやってる老夫婦がおりやして。
・・・あ、もう本題に入ってますよ。皆さん、ついてきてくださいね。これが「ぞろぞろ」ってぇ噺(はなし)の頭なんですからね。
実は、この噺にゃ、頭が二通りあるようでしてな、これを「浅草の太郎稲荷」っていって演じる場合もあるんですが、こちらのほうが「おとぼけ」感がありますな。ただ、小さいお稲荷さんですと、名が知れたとしても人々が「ご利益」を求められるのか、ある程度、最初(はな)っから名の知れたお稲荷さんのほうがリアルだってぇこともありやして。
・・・まあ、好きなほうをお持ち帰りください。
とにかくこの老夫婦、悩んでやして。
ってぇ申しますのは、参詣者が近頃、めっきり減っちまって、てんで客足がねぇ。商売上がったりで、どうしようかと思案してもどうすることも出来ませんで、しょうがないから、今日も今日とてお堂を清め、参堂の掃除をし、お稲荷様にお供えをし、願をかけやす。
「お稲荷様。どうか、このお稲荷さんと、出来ますればうちの茶店も繁盛(はんじょう)しますように・・・」
大変、まめでしてな。
老夫婦がいつものとおり、お稲荷さんの掃除が済んで、茶店でひとしきり休んでたある日、突然の村雨が・・・。これがひどい降りで、中野なんかは洪水が出ちまうほどの・・・例の、「集中豪雨」・・・「ゲリラ豪雨」っていうやつで。
「いやぁ、ひどい降りじゃなぁ・・・、こんな降り方は珍しいねぇ、おばあさん・・・」
「そうですねぇ。おじいさん・・・」
って話をしている間、近くの田んぼで農作業をしていたお百姓さんたちが、ぞろぞろとやって来やしてな。
「いやぁ、ひどい降りだねぇ。あ~あ・・・。ちょいと、ここで雨宿りさせてくれねぇか」
「ええ、どうぞどうぞ、ごゆっくり・・・。^±^」
「悪いねぇ。・・・お。この丸い白いお菓子、なんだぃ?」
「ああ、それはハッカ飴でございます」
「ハッカ飴? おかしいな。そんなことはねぇだろう。だって、ハッカ飴って、大概、三角じゃねぇか?」
「いえ、このハッカ飴は仕入れたときは三角だったんですねれどもねぇ、売れないままに、あっちこっち動かしてたら、方々にぶつかって、しまいにゃ、こんなになっちゃいましてねぇ・・・」
「ふ~ん。ハッカも苦労をして丸くなったんだ、世慣れて角が取れたんだねぇ? はっはっは・・・」
「はっはっは、そうかもしれませんねぇ・・・」
そんな世間話をしてるうちにすっかり雨は止んだんですがな、ところが道のあちこちにぬかるみができちまいやして。
「ああ、これじゃ、歩けねぇ。あすこのひもにぶる下がってるわらじ、一足くれ」
「あっしも・・・」
「あっしも・・・」
「ありがとうございます・・・」
これで、わらじは売り切れやして。それでも老夫婦にとっては、久々の売り上げですからな。
「おばあさん。驚いたねぇ。ずっと売れないで残ってたわらじ、今日全部売れちまったよ。これもお稲荷さんのご利益(りやく)だねぇ」
「そうですねぇ。ありがたやありがたや。後で、お礼参りに、行かなけりゃいけませんねぇ・・・」
そこへまた、
「じいさん、わらじ、売ってくれ」
じいさんはもうすっかり売れちまったって確認してたので、丁重にお断りしやす。
「あの、相すみませんが、わらじは売り切れでございまして・・・。申し訳ございません・・・」
ところが、
「じいさん。耄碌(もうろく)しちゃ困るなぁ。ちゃんとそこに一足、かかってるじゃねぇか」
見ると、いうとおり、一足だけかかってる。
「あれ? 変だな? 確かに売りつくしたと思ってたのに・・・」
そう思いながらも、
「ありがとうございます・・・」
ってこれを売っちまう。
「おばあさん。不思議なこともあるもんだ。これもきっとお稲荷様のご利益かねぇ・・・」
「そうですねぇ・・・。またお稲荷様にたんとお礼を言わないといけませんねぇ・・・」
で、その後、またまた、
「じいさん、わらじを売ってくれ」
で、見るってぇっと、ちゃんとわらじがかかってやして・・・。
これを一個売るってぇっと、その後から新しいわらじが、ぞろ、ぞろと出てくるんですな。
まあ、出てくるってぇっか、生えてくるってぇか・・・。
これが噂が噂を呼びやして、このお稲荷さんも茶店もすっかり繁盛しやしてな。
それを見た欲の皮の張った、二番煎じの床屋の親方が、掃除もせず、お供えもせず、一心不乱に願をかけやす。
「どうか、うちの店もあの茶店のように、ぞろぞろと繁盛しますように・・・」
で、さっさと願かけ、帰りますってぇっと、店の前に行列が・・・。
「おぅ親方。どこに行ってたんだよ! 髭(ひげ)あたってくれよ!」
「おう、こいつはありがてぇ・・・」
親方が早速店に戻り、支度しやす。
ところがいくらお客さんの髭(ひげ)を剃っても、なんだかやけに時間がかかるんですな・・・。
「変だな」
と思いながら、また剃るんですがな、何かおかしい・・・。
親方、それでも一生懸命剃る。あせるあせる・・・。
何しろ店の外はぞろぞろと行列が。
「おい、早くやってくれよ!`±´」
行列からも怒号が飛びやして・・・。
「あれ? 変だな。ちゃんと髭を剃ったはずだが・・・x±x」
親方、不思議がりながらもその髭を剃っているってぇっと、その後から新しい髭が、ぞろぞろ・・・^±^
お後がよろしいようで・・・。
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